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底なし柄杓
2012 / 08 / 12 ( Sun )
その方を仮にAさんとしておきます。
Aさんは社会人になってから自転車を始められたのですが、
今では、その道30年のベテランサイクリストでいらっしゃいます。
そのAさんが、まだお若い頃、
ある夏に、会社のお盆休みを利用して『四国一周の旅』を企画されたことがありました。

当時はまだ、瀬戸大橋も存在せず、
関西方面から四国に渡海するには、
兵庫県の明石港からフェリーに乗って、いったん淡路島に渡り、
洲本市まで行って、そこからさらにフェリーに乗って四国に渡る、というルートが一般的だったそうです。

さて、このAさん、淡路島までは計画通りだったのですが、
洲本市に向かう途中で、自転車のトラブルに見舞われてしまい、
自分が乗船するはずだった四国行のフェリーに乗り遅れてしまいました。

社会人ですから、お盆休みの期間もそう長くはありませんので、
必然的に予定は強行軍となっていて、
日程では今夜中に香川県に渡ることになっていました。

Aさんが、目的のフェリー乗り場についた時には、もう夜半になっており、
港で次の船をしらべましたが、今夜の便はもうありませんでした。
やむをえず、Aさんはフェリー乗り場の待合室で一夜を過ごして、翌朝の便を待つことにしました。
そこへ、『助けの神』があらわれます。

たまたま、この待合室をのぞいた地元の漁港の方が、
Aさんのお話を聞いて、気の毒に思って、
ちょうどこれから荷物を瀬戸内海のある島へ運ぶ用事があるので、
その帰りに自分の船で、Aさんを四国へ渡してくださるというのです。

Aさんは感謝感激、
このご親切な方のお世話になることにしました。

船は漁船でしたが、操作室の真下には仮眠室もあり、
船底には冷凍庫もある立派なもので、そのような船に乗せてもらえることだけで
Aさんのこの旅の充実度は一気に頂点に達した感がありました。
また、このご親切な方こそ、この船の船長さんであり、
他に若い船員さんが3人いらっしゃいました。

Aさんはご自分とあまり年のかわらない若い船員さんたちともすぐに打ち解け、
思いがけず楽しい船旅となったことをとても感謝しました。

IMG_0796_20100502005731.jpg

何時頃だったでしょうか、
船員さんの仮眠室で寝させてもらっていたAさんは、
ふと、周囲の騒がしい音で目が覚めました。
少しだけ顔をあげてそちらを見てみると、
仮眠室につながっている隣の倉庫で、船員さんたちがなにやら探し物をしていました。
そして、まもなく船員さんのひとりが、大きなヒシャクのようなものを持って、倉庫から出てきました。

なにかあったのかな、
漁が始まるのかな、などと
Aさんは思いましたが、お手伝いをするにもAさんは非力ですし、
自分がいてもお邪魔になるだけだろうと思って、
いろいろ考えたすえ、何も気がつかなかったことにして、そのまま寝ているふりをすることにしました。

そしたら、しばらくすると、船の甲板のほうから、
『おーう、おーう』と
なにやら大きな叫び声のようなものが聞こえてきました。
どうやら、あの船員さんたちの声のようです。

さすがに、何事かと思ったAさん、
こっそりと仮眠室を抜け出して、外にでる小さな階段からおそるおそる甲板をのぞいてみました。

すると、若い船員さんたちが、船の縁のほうに集まって、
真っ黒な海のほうにむかって、何やら大声で叫んでいました。

『おーう、ええわ、そこにおれ、そこにおれ』と言っているようです。
それから船員さんの中のひとりが、先ほど倉庫から持ってきたヒシャクを
力いっぱい海に向かって放り投げるのが見えました。
そして、全員でくりかえし、くりかえし、
『おーう、ええわ、そこにおれ、そこにおれ』と叫んでいました。

Aさんはそれまで寝ていたし、あまりに突然のことだったので、その時は自覚しませんでしたが、
あとから思い返すと、
波が荒かったのでしょうか、船はちょっと揺れ気味で、
真っ黒な海には薄い霧がかかっていたということです。

しかし、まもなくその騒ぎも収まりました。
その様子を、こっそり見ていたAさんも、
事態の収拾を察して、そっともとの仮眠室へ帰りました。

7239ee920f1cc9b0361a32c5af6798dc.jpg


翌朝、船はAさんを無事に四国のとある港へと運んでくれました。
Aさんは、たった一晩だけでしたが
すっかり仲良くなった船長さん、船員さんたちと別れを惜しみながら、船をあとにしました。

彼らとお別れしたとん、Aさんは急にお腹が減ってきました。
そういえば、洲本市で自転車のトラブルにあって以来、
Aさんはちゃんとご飯を食べていなかったのです。

そこでAさんは、港の近くにあった小さなお食事処に入りました。
その時間帯、ちょうどお客さんはAさんただひとりだったこともあり、
Aさんはお店のおかみさんとすっかり意気投合して、いろんなお話をしました。

その時ふと、Aさんは昨夜の出来事を思い出し、おかみさんに、
このふきんでは、夜に特別な漁でもしているのですか、とききました。
すると、お店のおかみさんは、
Aさんが食べた食器を片づけながら、こんなお話をしてくれました。

ああ、そら船幽霊がでたんじゃろ。
船に向かってな、ホーイホイと言いながら、船を止めてしまいよるんじゃ。
船のもんが気がついて出てきたら、
海から顔出して、『ヒシャク貸せ』と言いよる。
貸さなんだら、船にあがって来るからのう、船のもんはヒシャクを海に投げてやらんばならん。
でも、ヒシャクの底を抜いてから渡さんと、
そのヒシャクで水をくんで、船を沈めてしまいよるでの。
げに、船のもんはみんな、底なしヒシャクを積んどるのよ。
盆じゃからの、
荷の仕事でもない限り、夜は誰も船は出さんよ。

おかみさんは、さもつまらないことのように
Aさんにそんなお話しをしたあと
テレビをつけて、高校野球の応援を始めました。
17 : 56 : 38 | 日記 | トラックバック(0) | コメント(12) | page top↑
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コメント
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四国には「底なし柄杓」を奉納する?お寺があるとか...  †ヽ(゚ロ゚;)キェーッ!

by: aki * 2012/08/13 20:49 * URL [ 編集] | page top↑
--akiさん--

えーっ

そんなお寺、あるんですかあ
やっぱ、ただの伝承や民話じゃなくて、なにかあるのかなあ。
ちょっと怖いですね。
by: おろち * 2012/08/14 12:22 * URL [ 編集] | page top↑
--わ!--

雨降ったり、曇ったり・・・
今はセミがうるさい岡山でございます。

「底なし柄杓 奉納」って検索してみて下さい。
四国だけではなく他県にもあるようですね!!
ワタシはこちら地区のお話だと思っていましたが? はて、どこのお話なんでしょうか?

ん? よくよく考えてみると奉納するって事は、普通に「底なし柄杓」って売ってんだ?
by: aki * 2012/08/14 13:06 * URL [ 編集] | page top↑
--安産祈願?--

蛇さん^^ 毎日暑いですね~

も~オジサンはヘトヘトであります(笑)

底なし柄杓って私も興味あって調べたりしましたが面白いですね~
実際底なし柄杓を安産祈願だったりお礼だったり多くの地方で使われてる一方

船幽霊に関してもあちらこちらで語られているらしいですね~

さて? 安産には意味が今一不明な部分があるし、底なし柄杓なら船内に水を・・・・・

  神社やお寺の話を調べて行くうち、更に謎が謎を呼んでます

船幽霊さんには失礼だけど、なんだか楽しくなっちゃいました^^

あ! お母様はも~帰ってきたの?蛇さんは今年も先に帰ってきたんでしょ?w 
私は何故か時間ができると何時も見る「今会いにゆきます」で涙を流し(汗じゃ無いよ)
ている涙もろいオジサンでありましたとさ^^:
by: Koukou * 2012/08/14 17:20 * URL [ 編集] | page top↑
--船幽霊--

有名な船幽霊の話ですね。
こんな近くにもあるとは思っていませんでした。
夏本番、ほんのちょっぴりヒンヤリしました。
by: ねこまた * 2012/08/15 18:24 * URL [ 編集] | page top↑
--akiさん--

こんにちはー

『底なしヒシャクの奉納』って安産祈願だったんですね。
記事のお写真を見てみると、ほとんど同じ大きさ、同じ形のヒシャクなので、
このお寺で売ってるのかもしれませんね。
底なしヒシャクなんて、実生活じゃ役にたたないから、完全に奉納用ですね。
全国いろんなとこで、いろんなことをやってるんだな、と思いました(笑)
by: おろち * 2012/08/16 09:48 * URL [ 編集] | page top↑
--koukouオジサマ--

こんにちは~

マジで毎日暑いですねー(笑)

お母さんですけんど、実家には毎年20日すぎくらいまで泊まってますから、
今年もあと一週間くらいは帰ってこないと思います。
私は13日~14日だけ祖父のところで過ごして、さっさと帰ってきました(笑)
私の目的はイトコのYちゃんだけなので、Yちゃんに逢ったら、もう実家に用事はありまっせん(爆)

昨日、新しい職場に内定が決まりました。
地味な事務職だけんど、同じ年代の子が何人かいて、
前のところより、過ごしやすそうです。
それになにより、お家からめっちゃ近くて、自転車で通勤できる距離であります。
満員電車から開放されちゃったよ(笑)
お給料はちょっと下がっちゃっうんだけんど、お金より環境でございます(笑)
by: おろち * 2012/08/16 10:01 * URL [ 編集] | page top↑
--ねこまたさん--

こんにちは~

お盆はいかがお過ごしでしょうかー
今日、明日あたりから、一般の会社はお盆明けになると思うんだけんど
皆様はどんな感じなのでしょうか(笑)

船幽霊のお話は口承系民話だと思うんですけんど
けっこう、具体的な資料が多かったりしますね。
WIKでも、1969年の神奈川沖の事例が出てますし、
この類のお話は、時代が変わってもずっと残るものなんでしょうね。
by: おろち * 2012/08/16 10:08 * URL [ 編集] | page top↑
--はじめまして。--

海に関しては色々ありますね。
海ではないですけど自分も昔変な経験しました。
昔仕事の関係で神戸から岐阜の恵那って所へ車で移動してました。
夜中の12時すぎぐらいに米原(滋賀)の駅前の信号に止まった時、駅から大きいカバンをもった若い男の子がこっちに寄ってきました。
「すいません、ここが終駅で電車がなくなったんですけど長浜まで行きますか?」
「この道真っ直ぐやったらええで」っと言って乗せてあげました。
いろいろ話しながら運転してたんですが岐阜方面には曲がらなければならない所にきました。
「ここ曲がらなあかんねんけど」
「じゃあここでいいです」って言ったんですがちょっと小高い所でしかも真夜中、車も全く通らないしなんせ真っ暗。。。
「ここから何分位行くん?」
「10分位です」
「まぁええわ行ったるわ」
戻ってくるまで20分か・・・・っと思いそのまま乗っけてあげました。
10分位車を走らせると
「あの点滅してる信号の所でいいです」
っと言ったんですが回り一面田んぼで民家のある所までは道路から100mぐらいあります。
しかし翌日仕事やしここまで送ったらええかと思い
「気ぃ付けて帰りや」っと言って降ろしました。
男の子はお礼を言って車からおりました。
急いで車をUターンさせふと降ろした場所を見ると居ない。
バックして車から降りて探しましたがなんせ田んぼばかりで隠れる所なんてありません。
ポカ~ンとしながら降ろした場所でe-176して帰りました(笑)



by: とし * 2012/08/16 12:38 * URL [ 編集] | page top↑
--内定おめでとう^^--

うわ~新しい仕事内定おめでとうございます

今まで遠かったから自転車でいける距離ってのは良いですね~

通勤が遠いとそれだけで疲れが溜まりますからね・・・・・私の場合だけか?><

会社からなので短い※ですが許してください

ず~~~っと気になってたので、早くお祝いを言いたくてさw

ほんとにおめでとう~^^ よかった~自分のことの様であります^^
by: koukou * 2012/08/16 12:38 * URL [ 編集] | page top↑
--としさん--

はじめまして~

米原でのお話は実体験なんですね~
私自身は、実際にそんな感じの不思議な体験はしたことがありません。
このブログでは毎年夏か秋に一遍づつそんな感じのお話を書いてるんですが、
どれも知人から聞いたものです。

精神医学博士の中村希明先生によると、
怪談の多くは学問で解決できるそうであります。
ここに先生の面白いインタビュー記事がありますんで
ご興味がありましたらどうぞ~
http://www.athome-academy.jp/archive/philosophy_psychology/0000000235_all.html
by: おろち * 2012/08/16 19:29 * URL [ 編集] | page top↑
--koukouオジサマ--

こんばんわ~

ありがとうございます~
まだ、採用のお電話をいただいただけで、実際に現場で働いたわけじゃないんですけんど、
同じ年の子もいるみたいなので、ちょっと楽しみにしています。
初出勤は、一応22日になってますが、しばらくの期間は研修だそうなので
一人前になるのはもう少し先になりまする。
退社を意識してから、結局一年くらい苦しんでたけんど
この決断がいい結果になってくれることを、願うばかりです(笑)
by: おろち * 2012/08/16 19:36 * URL [ 編集] | page top↑
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